東京地裁は、「マルチ(まがい)商法」と「連鎖販売取引」の用語に関して、『「マルチ(まがい)」商法とは、一般的には、訪問販売法にいう連鎖販売取引及びこれに類似した取引を指すものと解するのが相当である』『「マルチ(まがい)」商法という言葉が、今日、悪質商法の代名詞として一義的に使用されるまでに至っていると言うことはできない』等と、判断を示した。
また、日本アムウェイ(日本アムウェイ)の「ビジネス」における「特定利益」については、『ディストリビューターの勧誘自体からは利益が得られなくとも、勧誘により自己の系列を形成した場合には、系列全体として販売実績が評価され、これに応じたボーナスが支払われるのであり、その結果、収入増加をもたらすことになるボーナス制度が債権者のビジネスの魅力の中核的な部分とされている』から、『ボーナスは特定利益に当たるものというべきである』等と説示。
さらに、同社における「特定負担」に関して、『債権者作成のパソフレットやディストリビューターの作成にかかる販売マニュアル等においても、製品を販売するためには、まずその製品を自ら使用して品質の高さを納得する必要がある旨説かれていること』や、鍋セット、浄水器など小売価格で2万円を超えるアムウェイ(日本アムウェイ)製品が少なくないことから、『製品の購入価格とスターター・キットの購入代金の合計額が2万円以上となることも現実の取引においては少なからずあり得るところと考えられ、具体的な取引がかかる条件づけとなっている場合には、右出損は、(中略)「特定負担」に該当するものであることを肯定して差し支えないと思われる』としたのである。
日本アムウェイ(日本アムウェイ)は、1996年初め、この東京地裁の決定を不服とし、東京高等裁判所に即時抗告を行ったが、97年暮れ、勝ち目がないと見たか、抗告の申し立てを取り下げた。
東京地裁がアムウェイ=マルチ商法とした決定は、マスコミではあまり取り上げられず、この頃までは、日本アムウェイ(日本アムウェイ)に不利な報道は少なかった。しかし、1996年5月28日に、国会で、神奈川県に住むアムウェイ(日本アムウェイ)・ディストリビューターの主婦が、行き詰まって自殺をはかった(未遂)という事件が取り上げられた。
このころからアムウェイへの世間の風当たりが強まる。アムウェイ側は「マスコミによるアムウェイ・バッシング」であると批判した。
アムウェイはマルチ商法(ねずみ講)であるとの東京地裁の見解である。
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